スペシャル

第3話「『美味しい』話」

~ザッハガルド城内・談話室~

「な、なんじゃこの飲み物は……甘いのにピリピリしておるぞ」
「まあ、本当ですね。少し辛みが効いていて…香りも独特です……」
「お口に合いませんでしたか…?折角なので、ザッハガルドで親しまれる味をお出ししようと思ったのですが……」
「く、口に合わないだなんて……初めての味で驚いてしまったの。ふふ、とても美味しいわ」
「無理はせぬ方がよいぞ、フリンデル。そなたにはもっと甘い幼子向けの飲み物がよかろう」
「なんて失礼なことを…!私、このお茶がとても気に入りました。ぜひ作り方を覚えて帰りたいくらいだわ」
「光栄です、フリンデル様。ディナス・エムリスでは香辛料が多く──」
「大変じゃ!!この菓子が美味しいぞ!ほれ、そなたらも食べてみよ。ほれほれ!」
「むぐっ…!ま、待って、口に押し込まないで……」
「こ、これ!やめぬか、マルドゥーク…!」
「ふ……っ!……っく、あははっ!ふふふ……すみません……あまりにも、その……皆さまの仲がよろしくて、つい」
「!?」
「仲良くないわ!」
「ありませんわ!」


数名の者たちが談話室でくつろぐ一方で、広間に残っている者もいた

~ザッハガルド城内・広間~

「スー商会は物資を手配するだけネ。どこかの傘下に入ることも率先して戦線に出ることもないアル」
「ああ、私もそのつもりだ。バックアップを全面的に任せたい」
「フッ、話が早くて助かるネ」
「提供可能な物資の一覧と入手可能な物資の一覧、それぞれの資料をご用意いたしますわ」
「可愛い挿し絵でも入れておくアル。マオの適応力の高さを見せつけるネ」
「フフフッ、承知いたしましたわ」
(なぜ張り合うのだろう……)
「……まあ、そうだな。魅せる資料というのも重要だ。諸国の小競り合いにまで言及するつもりはないから、あくまで一時的な協力関係を結べるか否かを早急にまとめることとしよう」
「そこに関してウチらは高みの見物アル。ザッハガルドに肩入れするつもりはないガ、お手並み拝見とするネ」


【白の大地サミット編】

■ 第1話「『対話』の始まり」
■ 第2話「『何が』できるのか」
■ 第3話「『美味しい』話」
■ 第4話「『対話』の結末」
■ 第5話「『有意義』な時間」
■ 登場人物紹介(相関図)


【アベルのマル秘資料】

① ザッハガルドについて
② アスガルドについて
③ マルドゥークについて
④ スー商会について