スペシャル

第2話「『何が』できるのか」

~ザッハガルド城内・広間~

「七罪のメンバーのことがまとめられた資料をいただきましたが……」
「戦力増強のために人材を探してる……?」
「天界の連中は当然把握しておろうな」
「あの秘密主義者たちはもっと詳しい情報を持ってるはずネ」
「幾らかの報酬を用意する前提で、詳しいことは調べられるか?」
「…………」
「ルシファーが知った「何か」も、ついでに知りたいのう」
「スー商会に揃えられない物はないネ。でも……天界の件は別アル」
「残念じゃのう……」
「タオ・スーさんになんでも任せてしまうわけにはいきません。今の私たちができることから考えてみませんか?」
「ああ、そうだな。ひとまず我々の知る情報を整理しよう。アベル」
「はい、レオノーラ様」


参加者たちの手元に、新たな資料が配られた。
「天界」「天の教会」「ルシファー」「モルルの過剰増殖」それぞれがまとめられているようだ。

「また分厚い資料の束じゃ……」
「ええっと……天界に天の教会、ルシファーさんの動向……」
「ふぁ、あ……こう文字が多いと眠くなってくるのう……」
「マルドゥーク陛下?資料をめくる手が止まっているようですぞ」
「お、起きておるぞ?じーーーっくり読み進めておったのじゃ」
「フォッフォッフォならば安心でございます」
「ふむ。モルルの事件については詳しくまとめられているガ……。ウチのマオ・リーの方がもっと美しい資料を作れるネ」
「フフッ……(ドヤ顔)」
「じいが作る資料の方が、挿し絵もたくさんあって読みやすいぞ!」
「それはもちろん、陛下の集中が切れないように工夫をしておりますので」
「えっ……配慮が足りず、申し訳ありません……」
「ア、アベルさんがご用意してくださった資料もとても読みやすいですよ!さあ、皆様お手元をご覧になって?会議の続きをいたしましょう?」
「続き、と言ってものう……」
「ルシファーによって世界規模の混乱が引き起こされる、という話がある。遅かれ早かれ、ルシファー率いる七罪が動き出せば我々は否応なく共闘を余儀なくされるだろう」
「ルシファーさんはもちろんですが、天界の動向も気になります」
「天界の者たちは余たちのことをどう思っておるのじゃろうか?」
「モルル増殖に関する資料に間違いがないなら、天界はウチらを守るつもりは多少あるはずネ」
「排他的ともとれる天界の現状、万民を保護するとも限らぬぞ」
「やはり私たちが一丸となり共闘する必要があるようですね」
「天界から切り捨てられる可能性がある以上、我々の力だけで乗り切る心構えが必要だ。しかし、だな……。他国の者が先頭に立ち指揮を執ったとき、貴様らは素直に従えるか?」


………………………………
静まり返る室内に、会議の継続は無理だと判断したアベルの声が響いた。

「本日は以上としましょう。皆さまお疲れ様です。談話室にお茶をご用意させていただいております。どうぞお立ち寄りください」


【白の大地サミット編】

■ 第1話「『対話』の始まり」
■ 第2話「『何が』できるのか」
■ 第3話「『美味しい』話」
■ 第4話「『対話』の結末」
■ 第5話「『有意義』な時間」
■ 登場人物紹介(相関図)


【アベルのマル秘資料】

① ザッハガルドについて
② アスガルドについて
③ マルドゥークについて
④ スー商会について