第3話「砂漠の姫、復讐の魔神」
〜王宮のマウラベーラ研究室〜
「さあ遠慮なく入って。ここが私の研究室」 | |
「おじゃましまーす」 | |
「あら、先客がいるみたい」 | |
「あっ! マウラベーラ!やっと帰って来たのね」 | |
「! …姫様。いかがされましたか?」 | |
「お姫様!」 | |
「は、初めてみた…」 | |
「もー、午後は遊んでくれるって約束したじゃない!あら? こちらの方々は?」 | |
「はい。私の研究の協力者です。こちらがアリババ、そして彼女がモルジアナ。」 | |
「お、お初にお目にかかりますお姫様。モルジアナと申します」 | |
「アリババ…です」 | |
「ご丁寧に。わたしはネクベト。王、ラーの娘です。…ふふっ、年も近いですし、そんなにかしこまらなくていいですよ」 | |
「か、かわいい…」 | |
「あ!?」 | |
「いえ、なんでもないです…」 | |
「ねえねえマウラベーラ、今度は何の研究?」 | |
「ええ、今回はこの本、何やら怪しげな封印が施されておりまして。その解除をと」 | |
「へえ…その本にそんなものが…」 | |
「封印してまで読ませたくない内容とはいったい何か…封印以外にも興味が尽きないところです」 | |
「おもしろそう!ねえ、私も見てっていいかしら?」 | |
「も、もちろんです!」 | |
「うん、うん」 | |
「では早速封印の魔力を解析するところから始めましょうか…ふふ…ふふふっ…!」 | |
「…?」 | |
「さあ、さあさあ!楽しい研究の、始まりよっ!」 | |
「な、なんだ!」 | |
「あはは。マウラベーラはね、研究になるとテンション上がっちゃうの。面白いでしょう?」 | |
「別人じゃん…」 | |
「大丈夫かなこの人…」 |
〜一方そのころ、シャイターンの居城〜
「ふむ、見つけたか」 | |
「は。現在はラーの王宮の研究室に」 | |
「ふっ…間者を忍ばせておいて正解だったな」 | |
「すでに隙を見てダミーと入れ替えるよう伝えてあります」 | |
「うむ、よくやった。下手に感づかれてラーのやつにこちらの動きを察知されても面倒だからな。後で褒美を取らす。手に入れ次第献上せよ」 | |
「ははっ!」 | |
「古来より伝わりし魔導書…中には魔の者に絶大な力を与えるものもあるという…長年探させていたが、ようやく我が手のもとに…待っているがいい神々よ、もう少し、もう少しで復讐の時…!はーっはっはっは!」 |
つづく
【アリババと王たちと封印の本】
■ 第1話「ある日、ある書店にて」
■ 第2話「王宮の術師」
■ 第3話「砂漠の姫、復讐の魔神」
■ 第4話「暗躍」
■ 第5話「いま、解かれし封印」
■ 登場人物紹介(相関図)
【ネイトとネクベトのこの人ってどんな人?のコーナー!】
① アリババ
② モルジアナ
③ シーリーン
④ マウラベーラ
⑤ ネクベト
⑥ ウプウアウト
⑦ ラー
⑧ シャイターン