第2話「王宮の術師」
「貴方は…?」 | |
「誰だ?」 | |
「…私はマウラベーラ。王宮の術師」 | |
「王宮の人がなんでこんなとこにいんだ?」 | |
「もう、またサボりに来たの?いいの? 上司さんに怒られちゃうわよ?」 | |
「いいえ、これはあくまで息抜き。…で、そこの少年少女」 | |
「は、はい…?」 | |
「話は聞かせてもらった。面白そうな研究対象。ぜひ私に任せてもらいたい」 | |
「は、はあ…」 | |
「ねえ、いいの?そんなこと言っちゃって…」 | |
「…市井の本屋に危険な魔導書があっても困るはず。そういうのを管理しておくのも王宮の務め…わかってもらえる…たぶん」 | |
「たぶん…ですか」 | |
「細かいことはいいから、私に任せて。それにこのままではどうにもならない」 | |
「それは確かに…」 | |
「私の研究室ならそれなりの設備もある。不測の事態にも対応が可能」 | |
「そうだな! なあモルジアナ!このおねーさんに任せようぜ!」 | |
「そうね。このままじゃどうしようもないから…マウラベーラさん、いいんですか?」 | |
「うん、決まり。じゃあ早速王宮の研究室へ…」 | |
「ちょっと待って!」 | |
「シーリーンさん…?」 | |
「え、何? やっぱまずかったりする?」 | |
「うふふ…お代。その本の。売り物なのよ? それ」 | |
「くっ…あいにく今は持ち合わせがない。少年、ここはお願い」 | |
「大丈夫かなこの人…」 |
つづく
【アリババと王たちと封印の本】
■ 第1話「ある日、ある書店にて」
■ 第2話「王宮の術師」
■ 第3話「砂漠の姫、復讐の魔神」
■ 第4話「暗躍」
■ 第5話「いま、解かれし封印」
■ 登場人物紹介(相関図)
【ネイトとネクベトのこの人ってどんな人?のコーナー!】
① アリババ
② モルジアナ
③ シーリーン
④ マウラベーラ
⑤ ネクベト
⑥ ウプウアウト
⑦ ラー
⑧ シャイターン