第1話「ある日、ある書店にて」
〜ある日の午後 シーリーンの書店〜
「きゃっ」 | |
「あ…ごめんなさい」 | |
「いいえいいえ。私もうっかりしてましたので。それでは、ごきげんよう」 | |
「あ、はい。すみませんでした」 | |
「まったく、ぼーっとしてんなよな。ほら、落ちたぞ、本」 | |
「うん、ありがとう」 | |
「…なんだ、この本、なんだか妙な気配が漂ってる…?こいつに気を取られてたのか」 | |
「うん…アリババも感じるんだ。これ」 | |
「あら、あなたたち、いいところに目を付けたのね。そう、これは入荷した覚えがないのにいつの間にかここにあった本…それも魔力で封印されてるのよ」 | |
「いつの間にかあったあ~?在庫管理ミスっただけじゃ…ふごっ!」 | |
「もう、余計なこと言わないの!で、シーリーンさん、封印って…」 | |
「全然開かないの、これ」 | |
「あ…ホントだ。開きませんね、これ」 | |
「嘘つけ~俺にやらせてみ?」 |
アリババは本を力任せに開こうと力をこめた!
「…ん、…………んん?…っこの!……だめだ、マジで開かねーぞ」 | |
「だから言ったでしょう?」 | |
「魔力の封印ってことは、魔力で解放できたりしませんかね?」 | |
「そうだよ、そりゃそうだよ。なあモルジアナ、やってみろよ」 | |
「ちょっと待ってて…」 |
モルジアナは目を閉じ静かに魔力を集中させる!
「… …… ……… だめだわ。なにも反応しない」 | |
「まあ私も試したしね」 | |
「それにしても、そんな厳重に封印してるっていうのは…中身が気になるな」 | |
「そうね。何が書いてあるんだろう…」 | |
「うーん、魔導書の類か…じつは禁書だったり……なんてねぇ」 | |
「禁書! それは…」 | |
「なんだ? きんしょって?」 | |
「書いてある内容を実行すると法に触れたりまずいことが起きる本、ってところかしら」 | |
「げ、そんなやべー本なのか…ますます見たくなったぞ!」 | |
「言うと思った。でも私たちじゃどうしようもなさそうよ?」 | |
「そこの少年少女、お困りか?」 | |
「? 貴方は…?」 |
つづく
【アリババと王たちと封印の本】
■ 第1話「ある日、ある書店にて」
■ 第2話「王宮の術師」
■ 第3話「砂漠の姫、復讐の魔神」
■ 第4話「暗躍」
■ 第5話「いま、解かれし封印」
■ 登場人物紹介(相関図)
【ネイトとネクベトのこの人ってどんな人?のコーナー!】
① アリババ
② モルジアナ
③ シーリーン
④ マウラベーラ
⑤ ネクベト
⑥ ウプウアウト
⑦ ラー
⑧ シャイターン