
第5話『動き出した運命(さだめ)』
~カマリの屋敷~
![]() | 「ただいま帰りました!」 |
![]() | 「お嬢様、おかえりなさいませ 旦那様もお待ちですよ」 |
![]() | 「仕事がこーんな山になってるので 出迎えはできませんけどね」 |
![]() | 「アルカ様もおかえりなさいませ ご無事でお何より」 |
![]() | 「……私は任務を全うしただけです」 |
![]() | 「はい、だからこそです さて、では旦那様のもとへ 行きましょうか」 |
~カマリの執務室~
コンコン
![]() | 「旦那様、お嬢様とアルカ様が おかえりです」 |
![]() | 「どうぞ入ってください」 |
![]() | 「ふたご座の皇子、ポルカ ただいま帰りました!」 |
![]() | 「いて座の皇子、アルカ 任務を全ういたしました」 |
![]() | 「二人ともおかえりなさい」 |
すすす……
![]() | 「旦那様、いつも通りに 振舞っていますが」 |
![]() | 「お嬢様が出立してから ずっと心ここにあらずで そわそわしていたんですよ」 |
![]() | 「エルハ、聞こえていますよ!」 |
カマリはポルカに歩み寄り、しゃがみ込んだ
ほっとしたように笑いカマリはポルカの頭を撫でる
![]() | 「はじめての皇子としての仕事は どうでしたか?」 |
![]() | 「えっとね、途中でドタバタが あったけど……」 |
![]() | 「けど?」 |
![]() | 「アルカおねーちゃんが 守ってくれたよ! パーティは楽しかった! おにーちゃんにお土産あるの」 |
![]() | (おや……これは……) |
![]() | 「それはよかったです アルカも、ご苦労様でした」 |
![]() | 「それが私の任務ですから」 |
![]() | 「相変わらずですね、君は」 |
![]() | 「ポルカ、疲れてるでしょうから もう休んでいいですよ」 |
![]() | 「話は明日ゆっくり聞かせてください」 |
![]() | 「はーい! ……アルカおねーちゃんは 泊まっていく……?」 |
![]() | 「いえ、私は……」 |
![]() | 「せっかくなので、 泊まっていってください 報告も……長くなりそうですし」 |
![]() | 「……カマリがそう言うなら」 |
![]() | 「では、俺は客間の 準備をしてきますね お嬢様、行きましょ」 |
![]() | 「カマリおにーちゃん おやすみなさーい」 |
![]() | 「はい、良い夢を」 |
ぱたぱた
![]() | 「随分とポルカに 懐かれたみたいですね」 |
![]() | 「そうですか……?」 |
![]() | 「あの子が「おねーちゃん」と 呼ぶのは心を許した 相手だけなのですよ」 |
![]() | 「……心を許されるようなことは 何もしていませんが」 |
![]() | 「うーん…… そういうところですよねえ」 |
![]() | 「……?」 |
![]() | 「こほん…… ……それで?」 |
カマリの雰囲気が一気に変わる
保護者の顔から、皇子たちの長へと
![]() | 「貴方のことですから もう把握していると 思いますが……」 |
デスクの上にパトリスが着けられていた装置を置く
![]() | 「道中襲ってきた少年に着けられていました」 |
![]() | 「……これは……なんですか?」 |
![]() | 「……洗脳装置、ですか」 |
![]() | 「なるほど…… とうとう彼らが動き出しましたか」 |
![]() | 「彼ら……例の組織ですか?」 |
![]() | 「ええ…… 運命(さだめ)が動き出しましたね」 |
![]() | 「……いいことなのか はたまた……悪いことなのか」 |
カマリはデスクの引き出しから
一通の手紙を取り出した
![]() | 「その紋章…… フェルグからの手紙ですか?」 |
![]() | 「ええ、どうやら双魚宮を探っている 鼠がいたそうです」 |
![]() | 「サマカが捕らえたそうですが さて……今回の件と関係があるのか ないのか……」 |
![]() | 「こういうときに限って 天秤は何も 語ってはくれないのですよね」 |
![]() | 「今はまだ時期ではない ということでしょうけど」 |
やれやれとカマリは肩を竦めた
![]() | 「……カマリ 聞きたいことがあるのです」 |
![]() | 「なんでしょう?」 |
![]() | 「ポルカと接しているうちに 胸の奥が…… 温かくなったのです これは一体…… どういう感情なのですか?」 |
![]() | 「それに、あの子を守らなければと 思ったとき 不思議と力が湧いてきました」 |
![]() | 「今までこんなことはなかったのに」 |
![]() | 「……そうですか それは愛おしいという 感情です」 |
![]() | 「君にも守りたいと思う存在が できたのですね」 |
![]() | 「守りたい……私は守護者です 元々、守ることは義務ですから」 |
![]() | 「役割としての義務ではなく 君個人があの子を守りたいと そう心から願っているのですよ」 |
![]() | 「……僕はそれを とても嬉しく思います」 |
![]() | 「それは君を強くするでしょう ……ですが同じくらい 弱くもする」 |
![]() | 「理解しかねます」 |
![]() | 「いずれわかりますよ 大丈夫 アルカなら乗り越えられます」 |
![]() | 「……カマリがそう言うのなら 私は信じるだけです」 |
![]() | 「長く引き留めてすみません そろそろ休んでください」 |
![]() | 「はい、失礼します」 |
一礼してアルカは執務室を出て行った
![]() | 「……ふう さて、僕はもう一仕事しますかね」 |
![]() | 「紅茶を淹れましょうか?」 |
![]() | 「ええ、お願いします」 |
フェルグからの手紙にカマリは視線を落とす
![]() | 「この胸騒ぎが 杞憂で終わればいいのですが」 |
大きな窓からカマリは星々を見上げた
![]() | 「動き出した運命(さだめ)からは 逃れられない……」 |
![]() | 「せめて、みなが心安らかで 過ごせるように……」 |
![]() | 「僕は祈ることしか できないのでしょうね」 |
カマリの声に応えるように星々は一層輝きを増した
おわり
【12星座の軌跡~忠誠のいて座と無垢のふたご座~】
■ 第1話『波乱の幕開け』
■ 第2話『初仕事とお久しぶり』
■ 第3話『予想外の乱入者』
■ 第4話『いざ陰謀渦巻くパーティへ』
■ 第5話『動き出した運命(さだめ)』
■ 登場人物紹介(相関図)
【教えて!カマリさん!】
① ポルカ
② アルカ
③ エルハ
④ クラビ
⑤ パトリス
⑥ ザミエル
⑦ カマリ
⑧ フェルグ
⑨ サマカ








