スペシャル

第4話『いざ陰謀渦巻くパーティへ』

〜街道〜

「う……」
「あ! おにーさん目を覚ました!」
「女の子……?」
「おにーさん、大丈夫ー?」
「オレ……は……
っ……!! 」

ガバッ!!

「吸血鬼は……!?
うっ……」
「急に動かないほうがいいです」
「吸血鬼さんはいないよー?」
「だって……オレは吸血鬼と
闘って……」
「こちらに見覚えは?」

アルカは黒いチョーカーを見せる

「……いや、知らない」
「あのね、あのね
おにーさんこの首飾り
着けてたんだよ?」
「お洋服も黒くなっててね」
「おそらく、これは
洗脳装置の類だと思われます」
「いつ着けられたか
心当たりはありますか?」
「多分……いや、絶対あの妙な
依頼人だ……」
「依頼人?」
「実は……」

かくかくしかじかとパトリスは
掻い摘んで説明する

「……なるほど……
私たちの問題に巻き込んで
しまいましたね」
「すみません……
ですが、貴方が手を汚さずに
済んでよかったです」
「アルカおねーさんがね
弓矢でこれを壊したんだって!」
「……アンタ……
凄い実力者なんだね……」
(洗脳されたとはいえ
こんな小さな子を殺そうとしてたなんて)
「はあ……オレはまだまだじゃん」
「あの人には……まだまだ
ほど遠い、か……」
「おにーさん?」
「オレはパトリス
吸血鬼ハンターをしてる」
「アンタらには恩がある……」
「オレの力が必要になったら
呼んで」
「いつでも力を貸すよ」
「ありがとう!」
「ええ、当主にも伝えておきます」
「色々と申し訳なかったね」
「この装置は私たちが預かっても?」
「ああ、いいよ
オレが持ってても仕方ないし」
「じゃあねおにーさん!」
「オレが言えた事じゃないけど
気を付けるんだよ」
「はーい!」

ガラガラガラガラ

去り行く馬車をパトリスは見送る

そんな彼を影から見つめる男が一人

「さすが12星座の皇子……
中々一筋縄ではいかないようだな」
「まあいいさ
次の策を立てるだけだ」

そうしてナルシサスは姿を消した

〜パーティ会場〜

「わぁ……!
すごい、キラキラしてるね!」
「そうですね……?」
(カマリの催す宴のほうが
豪華で質がいいと思いますが)
「よくぞお越しくださいました
ふたご座の皇子様、
いて座の皇子様」
「えっと……」

緊張の面持ちのポルカの背を
アルカがそっと押す

「!!
ふたご座の皇子、ポルカです!
今回はお呼びいただき
ありがとうございますっ」
「おお、さすが皇子様
幼いのにしっかりしてらっしゃる」
「今日はどうぞ楽しんでください」
「はい!」

去っていく主催者をアルカはジッと見つめる

「アルカおねーさん?」
「……なんでもないですよ
楽しみましょうか」

緊張しつつもポルカはパーティを楽しむ
水面下で動く思惑など知らずに……

時間は流れ、夕刻

「楽しい時間でしたが
宴もたけなわ……」
「幼い皇子様をあまり引き留めても
いけませんからね」
「またお呼びしても?」
「えっと、カマリおにー……
じゃなくて……
カマリさんに聞いてみます」
「ええ、今度はぜひ
お一人でいらしてください」
「立派な皇子様ですから
一人でも大丈夫ですよね?」
「えぇっと……」
「返事は当主を通して
出させていただきます」
「では、私たちはこれで」
「……はい、また」
「ありがとうございました……!」

〜馬車の前〜

「最後に出たケーキ
とっても美味しかったね!」
「はい、料理はどれも
美味しかったですね」
「……カマリおにーちゃんに
ケーキ食べてほしいなあ……」
「ポルカ……」
「って、なんでもないよ!」
「早く帰ろう?
おにーちゃんが待ってる!」
「……あっ」
「アルカおねーさん
どうしたの?」
「すみません、忘れ物をしました
先に馬車に乗っていてください」
「うん、わかった!」

ポルカが馬車に乗ったのを見たアルカは会場に戻る

〜パーティ会場・主催の部屋〜

「まったく……
まさか、いて座までくるとは……」
「同行を断っても不審がられるから
了承したが……」
「あんな小娘一人だったら
いくらでも
言いくるめられるというのに」
「まあいい、次は一人でと
指定すればいいからな」
「うまくいけば、12星座の力を
当家に取り入れることができる」

不穏なことを言う主催者の背後に
音もなく忍び寄る影が一つ

ひた……

「なっ……!!」
「…我々も見くびられたものですね」
「貴様……私はカマリ殿の
友人だぞ!?」
「友人……ですか
たかが数度、カマリの宴に
呼ばれただけでは?」
「貴方は人当たりのいいカマリしか
知らないみたいですが……」
「彼をただの優男と
思わないことです」
「カマリは……我が当主は
すべて把握しています」
「貴方の矮小な悪だくみも
ポルカに害を為そうと
企んでいることも」
「命が惜しいのなら
もうあの子から手を引きなさい」
「でないと……
貴方の一族すべてが
我ら皇子の敵とみなします」
「カマリは仲間に害をなす者を
決して許しません」
「それが、ポルカ相手なら
なおのこと」
「どうしますか?」
「……わ、わかった
私も命は惜しい……」
「わかりました
……ちなみに、貴方が
行ってきた不正の数々が
記載された書類ですが」
「念のため預かっておきますね」
「……ぁ……ああ」

がくり

「ああ……それと……」
「まだあるのか!?」
「はい」
「これは、私個人の用件ですが」

〜馬車〜

「お待たせしました」
「忘れ物あったー?」
「はい」
「あれ、このケーキって」
「カマリに
食べてもらうのでしょう?」
「うん!
ありがとう、アルカおねーさん
……ううん
アルカおねーちゃん!」
「どういたしまして
では、帰りましょうか」

長い一日が終わり
二人の皇子は帰路へ着く


【12星座の軌跡~忠誠のいて座と無垢のふたご座~】

■ 第1話『波乱の幕開け』
■ 第2話『初仕事とお久しぶり』
■ 第3話『予想外の乱入者』
第4話『いざ陰謀渦巻くパーティへ』
■ 第5話『動き出した運命(さだめ)』
■ 登場人物紹介(相関図)


【教えて!カマリさん!】

① ポルカ
② アルカ
③ エルハ
④ クラビ
⑤ パトリス
⑥ ザミエル
⑦ カマリ
⑧ フェルグ
⑨ サマカ