第2話「黄泉の国と閻魔宮の長」
~黒の大地・閻魔宮審判の間~
「閻魔宮に紛れ込んだ生者とは お前か?」 | |
「……人に質問する態度なのそれ?」 | |
「閻魔大王になんて口を!失礼ですよ!」 | |
「ああ、いい、いい 構わない 悪あがきで暴れまわる死者に比べたら可愛いものだ 私はこの閻魔宮の長、閻魔大王だ」 | |
「僕はスオウ 除霊師をしているよ 気づいたらここにいて そこの眼鏡のお兄さんに連れてこられたってワケ」 | |
「眼鏡……いや、そうですけども ごほん……失礼いたしました 私はタカムラ 閻魔大王の補佐をしています」 | |
「へえ……あんたなんだか苦労してそうだね」 | |
「……ノーコメントでお願いします」 | |
「何か言いたげだな タカムラ?」 | |
「……」 | |
「まあいい……それにしても生者が迷い込むのはお前で二人目だぞ」 | |
「二人目って……僕の他に誰かいるってこと?」 | |
「そうだ……タカムラ、あいつを呼んでこい」 | |
「承知いたしました……全く人使いが荒いんですから」 | |
「何か言ったか?」 | |
「お呼びいたします」 | |
(逃げた) | |
「お前が迷い込んだ坊主か?」 | |
「なんかその言い方、迷子みたいで嫌なんだけど」 | |
「迷子みたいなものだろうに」 | |
「この方はヌアザさんといって あなたと同じくいつの間にか閻魔宮にいたのですが……」 | |
「わしは自分の意思でここに留まっているぞ?」 | |
「なおのこと質が悪いです」 | |
「スオウ、気づいていると思うが、ここはお前が暮らしていた場所とは違う所だ」 | |
「……まあ、そうじゃないかとは思ってたよ」 | |
「ほう、驚きはしないと中々肝の据わった子供だな」 | |
「こう見えて結構、修羅場を潜り抜けてきたからね だから子供扱いしないで」 | |
「子供扱いを嫌がるのはまだまだお子様の証拠だな」 | |
「話を進めるぞ?帰る方法はないわけではない」 | |
「本当!?」 | |
「この地のどこかにある竜脈を探し出せ」 | |
「簡単に言うけど、手当たり次第に探せって?」 | |
「そうはいっていないだろう 大体の場所は教えてやるから後は自分で探すんだな」 | |
「閻魔大王はお忙しい身ですから」 | |
「念のため、護衛としてヌアザを連れていけ」 | |
「まあ、場所を教えてくれるだけ ありがたいけどね」 | |
「時間は有り余っているから構わんぞ」 | |
「では、竜脈の場所だが……」 | |
「なるほどね 短い間だけど世話になったね」 | |
「さっさと行くがいい ……ただでさえ最近妙な奴がやってきて、頭を痛めているんだ」 | |
「妙な奴?」 | |
「……アスモデウス」 | |
(見るからにうんざりしてる……あまり触れないでおこう) | |
「……それじゃお暇するよ ヌアザ……さん、行くよ」 | |
「わかっている では、また会おう」 | |
「お前ももう来るんじゃないぞ」 | |
…… |
~黒の大地・閻魔宮の外~
「閻魔大王が言ってたのはあっちの方かな?」 | |
「ああ、そうだな」 | |
じぃーー…… | |
「さっさと行こうか 長居は無用だからね」 | |
じぃーー…… | |
「……その前に……ねえ、そこに誰かいるんでしょ?」 | |
!!?? | |
「バレてないとでも思った?だとしたら、僕を舐めすぎだよ」 | |
……!! | |
「出てこない気なら……祓わせてもらう!」 | |
「わ、わー!待って待ってぇ!」 |
【黒の大地探訪記】
■ 第1話「油断大敵、時すでに遅し」
■ 第2話「黄泉の国と閻魔宮の長」
■ 第3話「黒の大地の日常茶飯事」
■ 第4話「見当違いの道案内」
■ 第5話「純情な乙女心とせんべつのリボン」
■ 登場人物紹介(相関図)
【七罪の秘密】
● ルシファー編
● サタン編
● レビヤタン編
● ベルゼブブ編
● ベルフェゴール編
● マモン編
● アスモデウス編